俺が家で気持ちよく寝ていたことであった。
ピリリリリリ
携帯が鳴り出す。
「はい」
不機嫌な声で電話に出る。
そりゃそうだろう。誰だって気持ちよく寝ていたところで起こされたらな。
「あ、朋也? 今日どうせ暇でしょ?だったらあたしたちと付き合ってよ」
電話の相手は杏だった。
「あ?なんで俺が」
「いいじゃない。どうせ暇なんでしょ?」
「……まあ予定はないが」
どうせ休日は春原のところに行って暇をつぶすだけだったしな。
「じゃあ午後1時商店街の入り口に集合ね」
と言われて時計を見る。
まだ朝の9時だった。
「じゃ」
と言いたいことだけ言って杏は電話を切ってしまった。
勝手なやつだななんて思いながらむくっと体を起こす。

時間が近づいてきたので集合場所へと向かう。
「おっそ〜い!!」
杏が怒った顔で俺に怒鳴りつけてくる。
「お姉ちゃん、そう怒らないで」
「そうですよ。岡崎さんが来てくれたんですから」
次に藤林と渚が視界に入っていき最後に
「杏ちゃん。落ち着くの」
ことみの姿が見えた。
なんだいつものメンバーか。
「なんだはなによ! せっかく誘ってあげたって言うのに」
「地の文を読むな」
俺は杏に向かって言う。
「いえ、岡崎さん。口に出していましたよ」
「マジ?」
「はい。ほんとです」
渚にいわれてほんとなんだと実感した。
「あの………ここで言い争っていても仕方がないですからどこかへ行きましょう」
藤林の言葉で俺たちは商店街をブラブラすることにした。
当然、荷物もちは俺の役目だった。
杏曰くあんたは荷物もちのためにいるんだからね、だそうだ。
杏達がわいわいはしゃいでいるのにことみは一人俺の隣にいた。
「ことみはあっちに行かないのか?」
杏達のほうを指した。
「うん。朋也君と一緒にいたいから」
そんなことを言われると嬉しい反面、恥ずかしいという気持ちもあった。
(そういえばこうやって部室以外で皆ではしゃぐのって初めてなんじゃないか?)
そう思うと、ことみの成長はすごいと思う。
図書室で知り合って、友達を作ろうと奮闘して杏、藤林、渚と親友に近い友達も出来た。もちろん俺も。
「今日は皆と会えて嬉しいの」
「そうかよかったな」

こんな日もたまにはいいかな
なんて思ったある晴れた日のことだった。


 

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