「あら?」
私こと二木佳奈多は彼氏である棗恭介の部屋に来ていた。
しかし、当の恭介は留守でいない。

少し部屋を見渡してみる。
片付いているようで所々が汚い。
さすがは男の部屋と言ったところだろうか。
見渡しているとき、あるものを発見してしまった。

「こ、これはっ……」
思わず手に取ってしまった。

それは、女の人が色んな服を着ているいわゆるコスチュームプレイ俗にコスプレをしている写真集みたいなものだった。
「こういうのが好きなのかしら?」
ペラペラとページを捲ってみる。

ナース服、チア、セーラー服、メイド服、巫女服など色々あった。
しかし私が着ているところを想像してみた。

………
「はぁ……」
溜息しか出てこない。
きっとそれほどまでに似合わないだろう……

ガチャ……
ドアが開く音がする。
「ん? 佳奈多何してるんだ?」
不意に声をかけられたのでとっさに背中に本を隠す。
「何隠したんだ?」
「な、なんでもないわよっ」
「そうかぁ? じゃあその後ろに隠してあるやつ見せてくれよ」
気づかれてたか。
「いや」
「おいおい、別に減るもんじゃないしいいだろ?」
「いやよ」
断固拒否する私に恭介は折れ、いつもの空間が戻る。

 

「はぁ……」
本日二度目の溜息をつく。
結局あの本を持ってきてしまった……
「どうしようかしら」
そしてもう一度ページをめくってみてみる。
写っている人は楽しそうな顔だった。

それを見ているとなぜか無償に着てみたいという衝動に駆られた。
ああ、なんか着ないと落ち着かないような気がする。

「はぁ……」
でもそれは叶えられないと分かっている。
誰かが持っているという可能性は少ない。
だとしたら……。


―日曜日

私は専門の服屋に来ていた。
もちろん目的は写真に写っていたような服だ。
探してみる。
やはり服屋の専門だけあるのかコアな服がたくさんあった。
メイド、ナース、ブルマなどなど。
魅力的なものばかりだった。
とりあえずはメイド服がいいのかしらと見ていると、
「どうなさいましたか? お客様」
店員だろうと思われる人がこちらに近づいて話し掛けてくる。
「あ、いや……別に」
「ほほう、なかなかな容姿にツリ目、そしてこのメイド服とギャップ……最高!」
ぐっと親指を立てる。
意味が分からない。
「で、どれかお買い上げしますか?」
「あ、いや……」
「そうですね。では試着はいかがでしょうか?」
そうかその手があったかといわんばかりの名案だった。
「じゃ、じゃああなたからの私に似合うものってあるかしら」
「そうですね……」
服を物色し始める。
と一つの服を見せてくる。
「これはどうです?」
普通のメイド服に見えた。
が、良く見てみるとスカートが短くてガーターベルトが見え隠れして中々いい物だと思う。
「じゃあ着てみていいですか?」
「どうぞ、こちらへ」
手で先導されて試着室へと入る。

いざ着てみようと思うと恥ずかしいと思えてきた。
しかし意を決して服を脱ぎ始める。
以外に着るのに苦労してしまった。
服が脱ぎにくいというのもあるがメイド服がこんな複雑だとは思っても見なかった。
しかしなんとか着ることが出来た。
鏡を見てみると、そこにはメイド服を着た私がいた(当然か)

「どうですか? 試着はおお、良くお似合いですよ」
店員が褒めてくれた。
なんか照れくさい。
そして私は店を後にした。
一つの紙袋を手に抱えて……。

そして私はまた一週間後に店に行き試着をして服を買うこととなる。
コスプレも悪くはないわね。


恭介に見せたら襲われた。
恭介曰く俺は個人的にはこれがいいんだが。
といって見せられたのが園児服……。
「こっ……のロリーっ!!」
私はとりあえず恭介の顔を殴っておいた。

でも、やっぱ毎日一回はコスプレしないとね♪
 

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