「やっぱり、RING RING RINGだろう」
「そうかなぁ? 私は魔法のアンサンブルがいいと思うけど」
「いやいや、ここは騒がし乙女の憂愁デショ!」
「私はえきぞちっく・といぼっくすを押しますっ」
「何を言っている。心色綺想曲だろう」
「光に寄せてです。これ以外は邪道かと……」

 

ふと思う。
どうしてこんなことになったのだろうと……。
ことの発端は葉留佳さんの一言だった。

「皆ってこの中にある曲で何が好きですカネ?」
やははといつものように教室に入って来てすぐ、そんなことを言い出す。
っで、取り出したのはMDプレイヤー。
カチっとプレイのボタンを押すとなにやら聞いたことのあるような感じの曲が流れる。

「あ、これ知ってる。『魔法のアンサンブル』だよね」
思い出した。……これはそう、天然で大のお菓子好きの小毬さんのBGMだ。
あの、陽気でほんわかとした曲調が特徴の曲だ。

魔法のアンサンブルが終わって次に流れたのは、
「お、これはあたしの曲だな」
人になつきにくい鈴のBGM、『RING RING RING』だ。
落ち着いたような始まりでも、どこか何かを感じさせるかのようなそんな感じの曲だ。

「やはは、これは私の曲デスネ」
ゲーム中ではルートが決まる前には良く流れていた『騒がし乙女の憂愁』、葉留佳さんのBGMだ。
聞いてるだけで葉留佳さんが何かしそうな感じで、今聞いてるときでも何かしそうで心配だ。

「これは、私の曲ですー」
クドが右手をぐっと上に突き出す。
そう、『えきぞちっく・といぼっくす』
クドのBGMだ。
聞いてるとギャグっぽく思えてくるのは僕だけだろうか?(クドに失礼である)

「ふむ、私の曲だな」
『心色綺想曲』、来ヶ谷さんのBGMだ。
まさに心を躍らせるようないい曲だ。

「私ですね」
西園さんがポツリと言った。
そう、『光に寄せて』西園さんのBGMだ。
落ち着いた感じで西園さんにぴったりだ。


「あれ? これって……」
聞いたことのあるフレーズが聞こえる。
これってたしか……
「私のBGMよ。直枝」
声のするほうを向くとそこには二木さんの姿があった。
そっか、こんな感じだったな。などと思い出す。
『Will&Wish』、二木さんのBGMである。

「これもどこかで……」
また聞いたことのある曲が流れる。
どこだったっけ? これ……。
「あら、わたくしの曲ですわね」
どこからか笹瀬川さんが現れる。
『猫と硝子と円い月』笹瀬川さんのBGMだ。
どこか哀愁を感じさせる微妙に寂しい曲(だと僕は思っている)

「これはたしか……」
「私の曲よ。理樹君」
「そうだったね。沙耶さんの曲だったね」
『駆ける』まさに沙耶さんにぴったりであり、今を駆け抜けろみたいで走りたくなる。
まあ、走らないけどね。

「これは、たしか……」
「そう、俺のBGMだ」
恭介が窓からとうっと教室に入ってくる。
いつもの風景なので皆は気にしていない。
恭介のBGM、『BOYS DON'T CRY』だ。
少年は泣かないでいいのかな?
良く分からないけど始まりという感じでいいよね。

で、そのうちに討論みたいな感じになって、

「今に至るんだよね」
「ん? 誰に話しかけてんだ?理樹」
「あ、うん。なんでもないよ」
恭介に話しかけられてまた少しプレイヤーの曲を流す。

あ、まだ続きあったんだ。
まだ少しかけてみることにした。

「『死闘は凛然となりて』……か」
あのときの缶けりは壮絶な戦いだったからね。
今ではいい思い出だけど。
またやりたいな、缶けり。

「『勇壮なる闘い』だ」
ランキングバトルで流れてたっけ。
あのときはたしかマスクザ斉藤に勝った時の瞬間が一番輝いてたなぁ……。

「これは……」
「『遥か彼方だな』」
そう、refrainの感動の場面で流れたあの曲だ。
「あんときは感動もんだったろ? 理樹」
「うん。あのとき僕と鈴が弱くなりかけていたのを恭介たちが助けてくれたんだよね。嬉しかったよ」
「そうか。ならいいけどな」

「あ、これは」
『Alicemagic』。
EDの一つだ。
「これは」
『雨のち晴れ』
これもEDの一つだ。
『Song for friends』
EDの一つ。
『saya's song』

「今思うとこれってすごい曲が集まってるよね」
「そうだな。三枝に言って俺も焼くかな」
「あ、そのときは僕にも頂戴」
「ああ、分かった」
僕たちは約束をしている間に討論は終わったらしい。

「で、結果はどうだったの?」
鈴に聞くと、結局自分のBGMが好きならそれでいいじゃないかということになったらしい。
まあ、そのほうが僕たちらしいけどね。

「お、最後にこれが残ってるぜ」
恭介が流した曲は……。

Little Busters! -Little Jumper ver-
だった。

 

「なあ、謙吾」
「なんだ、真人」
「なんで俺たちって専用のBGMがないんだろうな」
「さあな」
寂しく取り残されていた二人であった。

 

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