「で、誰が恭子君のルームメイトになるかだが……」
来ヶ谷の提案に一同が一瞬静かになる。

「はいっ! はいっ! はるちんがなってあげるよ」
「あ、私もいいよ〜」
「恭子さんはいいお姉さんになりそうです〜」
「……面白そうですから」
「ふみゅ……まぁいいかもな」

各々が我こそがと名乗りを上げる。
「あはは、人気者だね。恭子さん」
「そうだね……あはは」
まあ、笑えない冗談である。
正体を知っているのは俺と理樹と来ヶ谷だけだからな。
他の奴が正体を知ったらどうなるかと考えると……ぞっとする。
しかしなかなか決まらないな。
今、鈴達が話し合っているが一向に決まる気配がない。
それを見ていた来ヶ谷がある提案を出した。

「では、恭子君にアピールをして選んでもらうというのはどうだろうか」
「? どういうこと〜? ゆいちゃん」
「だから唯ちゃんはやめろとあれほど……。今はそれはいい、詳しく言うと自分をルームメイトにするとこういう良いことがあるよとかそういうことを恭子君に言えばいい」
「よく分かんないです〜」
小毬と能美が頭にハテナマークを浮かべながら来ヶ谷を見ている。
「簡単に言うと、自分の気持ちを伝えればいい。それだけの話しだ」
来ヶ谷は簡単にまとめる。
たしかに自分の気持ちを伝えるということは大事だな、うん。
自分で納得して、頷く。

「では、誰から行く?」
「じゃあ、私から行くよぉ〜」
「では、コマリマックスから時計回りでいいかな?」
一同が頷きルームメイト巡る戦い? が始まった。

「私となるとお菓子がたくさんあるよ〜。あとはきょうちゃんとたくさん楽しい話したいな〜」
のほほんと言った感じで言う小毬。
たしかに小毬はたくさん菓子持ってるし、話していて退屈しなさそうだ。

「じゃあ、次はあたしか。ふーむ、なっていったらいいか分かんないからな。これだけしか言えん! 猫とたくさん遊べるぞ」
少し恥ずかしそうに言う鈴。
へっ、前までの鈴じゃこういうふうに話さなかったのにな。これもやっぱリトルバスターズのおかげだな。

「じゃあ、次は私かな? はるちんと一緒にいると退屈はさせません。というかさせない。いつもオールナイトフィーバーみたいな? 感じですヨ」
やははと笑いながら三枝は言う。
三枝はお騒がせ娘として結構有名だからな。
退屈はしないだろうが……こっちが疲れそうだな。

「わふー、次は私ですっ! えっとえっと……」
「落ち着くといい。クドリャフカ君」
「は、はいです」
必死に考えている能美。
その姿は……やべっ、萌えるぜ。
「勉強が苦手なので教えてくれるとありがたいですっ!」
理樹からそれは聞いたことがあるな。
たしか英語が苦手なんだっけ? 能美は。
教えるっていうのもありかもな。

「私は本がたくさん読めます。漫画、小説、BL、GLなど等色々な本があります。きっと話が合えば退屈はしないと思います。ふふ、あなたを私色に染めるのもありですよね」
最後の部分は聞き取れなかったがなぜか嫌な予感がした。
西園を選ぶと危ないと。

「さて、最後はそこの影に隠れている佳奈多君出てきたまえ」
「っ……」
食堂のポールっぽい影からのそっと顔を少し赤くしながらでて来る。
「あれ? お姉ちゃん。先行ったんじゃなかったの?」
三枝の言葉に、
「気になったのよ」
と小さく呟く二木。

「で、私もルームメイトの対象に?」
「うむ、君さえよければだが」
じーっとこっちを見てくる。
そんな真剣に見るなよ。恥ずかしい。
「……分かりました。では簡単に自己紹介もかねて。私は二木佳奈多、風紀委員長をさせて貰ってるわ。私と居るからには規則正しい生活をして貰います。……あとはたまにお茶を一緒に飲めるわね」
最初の部分はなんか嫌だが後半の部分はなんかぐっと来るものがあった。

「あとは、私たちの前でのそのそと食事をしている笹瀬川君」
「ふぇ? ……っ! いつから気づいていたんですの!?」
素っ頓狂な声を出して驚いている。
「さっきだよ。鈴君のアピール中にそそくさとやってきたじゃないか」
「ち、違いますわっ! ただここしか席がなかっただけですわ」
笹瀬川も強情だなぁ。周りをみても結構ガラガラなのにな。
「……こほん。私もやればいいんですの?」
「ああ、良かったらだが」
少し考えた後、小さく「分かりましたわ」と呟いた。

「では、僭越ながら私は笹瀬川佐々美と言います。以後お覚えを。……まああとはあとはお風呂上りに髪を梳いて差し上げますわ。以上です」
髪を梳かないというか梳く必要がなかったからな、これはいいかも知れない。

「私は今回パスだからこれで最後かな?」
どうやら役者は全員揃ったらしい。
小毬、鈴、三枝、能美、西園、二木、笹瀬川の七人か。
うーん、皆結構いいし、決めづらいな。

「恭子さんの一緒になりたいって思う人でいいんじゃない?」
理樹がアドバイスをしてくれる。
「そうですね。じゃあ……」
俺が決めた相手は……。
 

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