「実は、俺…」
恭介の口から男だということを明かす。

それには、正体を知っている唯湖と理樹以外は驚愕していた。

「ほ、ほんとなのかっ! 馬鹿兄貴!」
「ああ、俺もびっくりしたさ。朝起きたらこんな姿になってたんだからな」
妹である鈴が一番びっくりしており、そのあとの言葉がくちゃくちゃになっていた。
「で、でも、恭介さん。落ち着いてるね。どしてなの?」
小毬が皆が疑問に思っていることを聞く。
「なっちまったもんはしかたねぇからな。開き直ることにしたんだ」
「それは、それですごいデスネ」
「ということはその胸は本物なんですかーっ!?」
クドが少し興奮気味で恭介に近づく。
恭介は少し危険を感じたのか一歩後ずさる。
「そのとおりだ。クドリャフカ君。私が直に確認をしたからな」
「な、なんと! 姉御もうチェック済みですか!」
「うむ、触り心地最高だ。オッパイ万歳ってところだな」
「あ、あのなぁ…」
唯湖があることないことを葉留佳に教えている。
恭介はため息しか出せなかった。

「でもよ、恭介」
「ん? どうした。真人」
ふと、真人がこんなことを口に出す。
「部屋どうするんだよ」
「あ、そいつは心配無用だ。俺は来ヶ谷の部屋に行くことになってるからな」
「な、なんだって!?」
「あれ、話の流れ上そうなってんだろ」
「そんなわけないだろう。恭介氏と一緒にいるとこっちまで(21)になってしまうだろう」
「んな、わけねーーー!!」
恭介は力強く否定。
しかし、時はすでに遅かった。

「そうか。姿や性別が変わっても馬鹿は馬鹿なんだな」
「違うぞ! 鈴」
「ちかよんな! 変態兄貴!」
「うがーーーーー!!」
唯湖からの言葉に軽い勘違いをして鈴は恭介変態呼ばわり…
恭介は真っ白に燃え尽きていた。
「ま、まあ鈴。落ち着いて」
「これが落ち着けるか! 馬鹿が変態に進化したんだぞ!」
「そ、それは否定出来ないけどさ」
「り、理樹までそんなことをいうのかよ」
「心配はいらないよ。恭介は恭介。趣味とかが可笑しくても僕は気にしないよ」
理樹の言葉がとどめになった。
恭介は隅っこでのの字を書いてどよーんという効果音が似合うであろうという感じで落ち込んでいた。

「で、実際。恭介はなんであんな姿になったんだ?」
謙吾の言葉に皆考え込む。
「なんか、へんなもん食ったとか?」
「それは、違うと言っていたぞ。真人少年」
「じゃあ、原因はなんだよ」
「それが、分かったら苦労しない」
皆がわいわいと話し合う。
そんな中だった。
「あの…」
美魚がふと手を上げる。
「美魚君。どうした」
「女の子になってしまった原因が分かったんです」
「それはほんとなのか? 美魚君」
「はい、多分化学部の人が作ったクッキーのせいだと思います」
「俺も思い出したぜ」
いつ復活したのか知らないが、美魚の言葉に飛ぶようにして話に割り込んでくる。
「そういえば、昨日化学部から実験してるから手伝ってくれって言われてな。クッキーを食ったんだ。あんときは別に異変なかったんだがな」
「きっと、遅行性の薬が何かが入っていたんだと思います」
「だとすればなにか? 化学部の連中に聞けば何か分かるってことか」
「そういうこった。さっそく俺は行ってくる」
「どれ、私も行こう」
「じゃあ、わたしも」
「わたしも」
ゾロゾロ…
結局皆で行くこととなった。


「皆さん」
化学部の連中に美魚が話しかける。
「どうした。美魚君と、そちらの女性が恭介氏でいいのかな?」
「ああ、元に戻して欲しくてな」
その言葉に顔をしかめる化学部部長。
「実は、もうしわけないんだがあの薬が試薬でなアンチがまだないんだ」
「なんだって! じゃあ俺はいつまで俺はこのままなんだよ」
「薬の効果が切れるまで、もしくは我々がアンチを作るかのどちらかしかない」
「ちなみに切れるのは一年後です。アンチを作るのも半年はかかります」
部員が丁寧に説明する。

簡単にまとめるとこうだ。
恭介が女になったのは化学部の実験のせいである。
元に戻るには自然治療か、化学部の解毒薬を飲むかの二択。
自然に治るのは、一年かかる。
解毒薬も完成するには半年かかる。
現状恭介は最低でも半年は女でいないといけないということだ。

「お、俺は半年もこの姿かよ…」
「心配するな。恭介氏。私たちがきっちり女にしてみせるよ」
「任せてよ〜」
「はいですー」
「面白そうデスネ」
「モデルはいいんですから」

小毬、クド、葉留佳、美魚、唯湖はもはやノリノリである。
やはり、他人を弄るもとい、コーディネイトするのは楽しいからだろうか。
恭介を引きずるようにどこかへ連れて行く。
「理樹ーーーー!!」
恭介の叫びも空しくどこかへ連れて行かれてしまった。

「どうする?」
「とりあえず、教室行くか」
「そうだな」
残された男三人は教室に行くことにした。

 

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