佳奈多の部屋(寮だが)で二人でいるんだが、いかんせんこの漫画が楽しすぎて困る。
のためか部屋の中は静かだ。

ぺら……ぺら……

「へぇ……」
やっぱこういう展開がベタだよな。

「ねぇ……」
「ははっ」
やべぇ、こいつは面白いぜ。
「むっ」
「くっ、いいところでこいつはいつも終わるよな」

――くいくいっ……
袖を軽く引っ張られる。
「ねぇってば」
「ひゅう、やるっ! こいつは来週も買わないとな」

――くいくいっくいくいっ……
「恭介……」
「なんだよ? さっきから」
「キスして」
佳奈多が上目遣いでうるうると見つめる。
「……」
「だめ?」
「こ、こんちくしょうめ〜〜〜っ!」
「きゃっ」

佳奈多を押し倒す。
驚いていた表情だったがすぎに顔を赤く染める。
「バカ……」
小さく呟いていたがその表情は嬉しそうだった。

 


テイク2
「やっぱり恭介は後ろからの抱き心地が最高ね……」
「恥ずかしいぞ」
そのわりには抵抗が弱い。
「か、佳奈多が強く抱きしめすぎなんだよ」
「それを差し引いても、よ」
ぐいぐいと体をさらに強く抱きしめる。
「な、なあ……」
「なに?」
恭介が恥ずかしそうにというか顔を赤くしてこう言う。
「む、胸が当たってるんだが……」
「当ててるのよ」

 

 

テイク3
「すぅ……」
いい寝顔で寝てるわね。

今恭介は私の膝の上で寝ている。
俗に膝枕と言うやつだ。

最初は恭介は芝生の上で寝転がっていたのだがいきなり膝枕をしてくれといわれたときにはびっくりした。
やってみると恭介は始めのうちはちょっかいをかけてきたが10分もしないうちに寝てしまった。

寝顔はあどけない子供のように純粋でとても年上のようには見えない。

「ふふ……」
ふと笑ってしまった。
私と恭介は色々なことがありなんとか付き合うと言う形になった。
今考えれば結構恭介って人気があったのね。

神北さんにはいつもうう〜と唸られるし(毎回会うたびに唸られるので困る)、棗鈴にはふかーと威嚇させられるし(まあ襲ってはこないのだけど)、葉留佳にはいつもからかわれるし、クドリャフカは特になにもないわね。来ヶ谷さんには睨まれるし(それが結構威圧感があって困る)、西園さんはアリです。アリです。となんか呟いてるし、直枝理樹は僕の恭介が……って言ってるけど恭介は私のものだから諦めなさいな。

とまあリトルバスターズから見ても人気かなり高く競争率も高い。
そのなかで手に入れたのだから私は幸せなものだろう。

「ん……」
寝返りを打つ。
「あぅ……」
その位置はかなりまずいわね。
太ももに吐息がかかってくすぐったい。

「ふぅ」
心を落ち着かせて。
それでもくすぐったいが我慢しよう。
今私は幸せなのだからね。

 

 


おまけ
次の日の朝、来ヶ谷さんと会った。
「昨日はずいぶんとお楽しみだったそうじゃないか」
「なっ!」
思わず口をパクパクとさせてしまう。
「おや、たしか膝枕だったか。眼福だったが恭介氏は渡さんぞ」
「残念ながらもう恭介は私の物ですから」
「ふっ……そいつはどうかな?私の手にかかれば惚れ薬ぐらいわけない。そして恭介氏と……はぁはぁ」
「勝手に恭介を薬を飲ませないで下さいっ」
「ほほう、じゃあお姉ちゃんに入れるのはありなんですカ?」
「それは別に……って何言わせるのよ葉留佳!」
「ふむ、では佳奈多君に薬を飲ませ、葉留佳君あとは君の自由にしたまえ」
「いいんすかっ!? 姉御?」
「ああ、私は恭介氏さえ手に入ればいい。むしろ佳奈多君の存在が邪魔だからな」
「なにげに酷いことをいいますね」

「では、夢の世界へ……」
「行きませんっ!」

 

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